コーヒー用語集
スペシャルティコーヒーの世界で使われる専門用語を、初心者にもわかりやすく解説します。
品種
- アラビカ種Arabica
- コーヒーの2大品種のひとつ。全生産量の約60%を占める。標高1,000〜2,000mの高地で栽培され、繊細な香りと複雑な風味が特徴。カフェイン含有量はロブスタの約半分。
- ロブスタ種Robusta / Canephora
- 全生産量の約40%を占める。低地でも栽培可能で病害虫に強く収量が多い。カフェイン量は多くエスプレッソのクレマ形成に優れる。インスタントコーヒーの主原料。
- ゲイシャ(ゲシャ)Geisha / Gesha
- エチオピア原産のアラビカ品種。2004年のパナマのオークションで世界を驚かせた。ジャスミン・ベルガモット・ピーチのような複雑なフローラル香が特徴。希少で高価。
品質
- スペシャルティコーヒーSpecialty Coffee
- SCA(スペシャルティコーヒー協会)の定義で、カッピングスコア80点以上のコーヒー。農家・精製・焙煎・抽出すべての工程でのこだわりが品質を支える。全生産量の約5〜10%。
- カッピングCupping
- コーヒーの品質評価のための標準的なテイスティング方法。粗挽きのコーヒーに熱湯を注ぎ、4分後にスプーンですくって香りと風味を評価する。SCAAのプロトコルに従い0〜100点で採点。
- スペシャルティグレードSpecialty Grade
- SCAAの規格でカッピングスコア80点以上かつ欠点豆が極めて少ない豆に与えられる格付け。コモディティグレード(一般品)より大幅に高い品質基準。
産地
- テロワールTerroir
- ワインから転用された概念。土壌・標高・気候・在来種など、その土地固有の環境条件がコーヒーの風味に与える影響のこと。同じ品種でも産地が異なると全く違う味になる理由。
- シングルオリジンSingle Origin
- 単一の農園・地域・国から調達したコーヒー。産地固有の個性を楽しむことができる。ブレンドコーヒーと対比される概念。さらに細かく「シングルファーム」「マイクロロット」等がある。
- マイクロロットMicro Lot
- 単一農園内の特定区画・特定品種・特定日の収穫など、非常に小さいロット単位で管理されたコーヒー。トレーサビリティが高く、品質が均一で希少性も高い。
- コーヒーベルトCoffee Belt
- 赤道を挟む北緯25度〜南緯25度の熱帯・亜熱帯地域のこと。コーヒー栽培に適した気温・降水量・日照条件が揃う。エチオピア・ブラジル・コロンビア・インドネシアなどが含まれる。
- カップ・オブ・エクセレンスCup of Excellence (COE)
- 産地国ごとに開催される国際コーヒーコンテスト。国内予選と国際審査員によるカッピングで最上位ロットを選定し、オークションで取引される。
関連:テロワール
関連:コーヒーオークション
流通
- ダイレクトトレードDirect Trade
- 商社や仲介業者を通さず、ロースター(焙煎業者)が農家と直接取引する方式。農家への適正な収益確保と品質管理の両立が可能。スペシャルティコーヒーの第三波で広まった。
- フェアトレードFair Trade
- 途上国の農家・労働者が適正な賃金と労働条件で働けるよう認証する国際制度。最低買取価格と社会的プレミアムを保証する。オーガニック認証と組み合わせることが多い。
- オーガニックOrganic
- 化学農薬・化学肥料を使わずに栽培・加工されたコーヒー。認証機関(JAS有機、EU Organic等)の審査を受けることで認証ラベルを取得できる。エチオピアやペルーで多い。
- コーヒーオークションCoffee Auction
- 生産国で行われる高品質コーヒーの競売。「Best of Panama」「Cup of Excellence」などが有名。落札価格が市場価格の数十〜数百倍になることも。スペシャルティコーヒーの指標となる。
- コモディティコーヒーCommodity Coffee
- ニューヨーク・ロンドン市場の先物価格に基づいて取引される一般品。出所が混在し、品質より価格と量で取引される。世界生産の大半を占める。
- C プライスC Price
- ICE(インターコンチネンタル取引所)で取引されるアラビカ先物価格のこと。コモディティコーヒーの世界基準価格。スペシャルティはこれに上乗せされた価格で取引。
関連:フェアトレード
関連:スペシャルティコーヒー
関連:コモディティコーヒー
精製
- ウォッシュド(水洗式)Washed / Wet Process
- コーヒーチェリーから果肉を除去後、水槽で発酵させてから洗浄・乾燥させる精製方法。クリーンで明るい酸味が出やすく、豆本来のテロワールが反映されやすい。
- ナチュラル(乾燥式)Natural / Dry Process
- チェリーのまま天日乾燥させる最古の精製方法。果実の糖分が豆に染み込みワインのような発酵感・フルーティな甘みが生まれる。エチオピアやブラジルで多く使われる。
- ハニープロセスHoney Process
- 果皮を除去しミューシレージ(粘液)を一部残して乾燥させる方法。ウォッシュドとナチュラルの中間的な風味。ミューシレージの残量でホワイト→ブラックと分類。
- アナエロビックAnaerobic Fermentation
- 密閉タンク内で酸素を排除して発酵させる精製方法。ワイン・トロピカルフルーツのような複雑でユニークな風味が生まれる。近年スペシャルティ業界で急速に普及。
- スマトラ式(ウェットハルド)Wet-Hulled / Giling Basah
- インドネシア独自の精製方法。半乾燥状態で脱穀する。豆が青緑色になりアーシー・スパイシーな重厚な風味が生まれる。マンデリンやトラジャコーヒーはこの方法。
- ミューシレージMucilage
- コーヒーチェリーの果皮と内果皮(パーチメント)の間にある粘着性の糖質層。ハニープロセスではこの層を意図的に残して乾燥させる。発酵の進み方に大きく影響する。
- パーチメントParchment
- 生豆(グリーンビーンズ)を包む薄い内果皮(殻)。精製後の乾燥工程ではパーチメントが付いたまま保管・輸送され、輸出前に脱穀されてグリーンビーンズになる。
- カーボニックマセレーションCarbonic Maceration
- ワインの製法から転用された精製方法。CO2 で満たしたタンク内でチェリーごと発酵させる。ワイン的な複雑な風味が生まれる。
関連:ナチュラル
関連:アナエロビック
焙煎
- ライトローストLight Roast
- 浅めの焙煎。豆の個性・テロワール・フルーティな酸味が最も出やすい。スペシャルティコーヒーの第三波で主流となった。シナモン〜ミディアムの手前まで。
- ダークローストDark Roast
- 深めの焙煎。苦みとコクが強調され、産地の個性より焙煎の風味が前面に出る。エスプレッソやフランス式ローストが代表例。セカンドクラック以降。
- ファーストクラックFirst Crack
- 焙煎中に豆の内部から水分が蒸発し細胞壁が破れる音(パチパチ)。ライト〜ミディアムローストの目安。この前後でコーヒーとして飲める最低ラインに達する。
- セカンドクラックSecond Crack
- 焙煎がさらに進み油脂が表面に出てきた後に起きる第2の爆裂音(チリチリ)。ダークロースト・フレンチロースト・イタリアンロースト付近で発生。
- メイラード反応Maillard Reaction
- 焙煎時にアミノ酸と糖が反応して複雑な香味成分を生み出す化学反応。褐色化・香ばしさ・甘みの形成に関与。パン・肉の加熱調理でも同じ反応が起きる。
- デベロップメントタイムDevelopment Time (DTR)
- ファーストクラックから焙煎終了までの時間。全体時間に対する比率(DTR%)で焙煎プロファイルを記述する。長すぎると平坦、短すぎると未成熟な味になる。
関連:カラメル化
関連:ファーストクラック
抽出
- ペーパードリップPour Over
- ペーパーフィルターを使ってお湯を注いで抽出する方法。クリーンで明るく繊細な風味が出やすい。V60・ケメックス・カリタ等の器具がある。豆の個性が最も出やすい方法。
- ブルーム(蒸らし)Bloom
- ドリップ抽出前に少量のお湯を注いで30〜45秒待つ工程。豆に含まれるCO2を放出させ、均一な抽出を促す。焙煎から日が浅い豆ほど盛大に膨らむ(新鮮さのサイン)。
- エクストラクション(抽出)Extraction
- お湯によってコーヒーの成分を溶け出させる工程全体。抽出率(Extraction Yield)が低いとアンダー(薄い・酸い)、高いとオーバー(苦い・えぐい)となる。理想は18〜22%。
- オーバーエクストラクションOver-Extraction
- 抽出しすぎた状態。苦み・えぐみ・渋みが強くなる。挽き目が細かすぎる・お湯の温度が高すぎる・抽出時間が長すぎる場合に起こる。
- アンダーエクストラクションUnder-Extraction
- 抽出不足の状態。薄くて酸っぱく・風味の複雑さが出ない。挽き目が粗すぎる・お湯の温度が低すぎる・抽出時間が短すぎる場合に起こる。
- 4:6 メソッド4:6 Method
- 2016 年 World Brewers Cup 優勝者・粕谷哲氏が開発した V60 抽出法。お湯を 5 回に分け、最初の 40% で甘さと酸味、残りの 60% で濃度を調整する。
- TDSTotal Dissolved Solids
- コーヒー中の溶解固形分の濃度。屈折計(リフラクトメーター)で計測。SCA の推奨範囲は 1.15〜1.35%。抽出の濃度を客観的に把握できる。
- チャネリングChanneling
- コーヒー粉床にお湯が一部だけ素通りする現象。エスプレッソやドリップで起こり、過抽出と未抽出が同時に起き味が崩れる。タンピングや注ぎの均一性で防ぐ。
関連:ペーパードリップ
関連:抽出収率
風味
- フレーバーノートFlavor Notes
- コーヒーに感じられる香りや味わいの要素を具体的な食材・花・果実等に例えた表現。「ジャスミン」「ブルーベリー」「チョコレート」等。品種・精製・焙煎・産地により大きく異なる。
- フレーバーホイールFlavor Wheel
- SCAが開発したコーヒーの風味分類図。同心円状に大分類から細分類まで整理されている。カッピング評価や風味表現の共通言語として世界中で使われる。
- アシディティ(酸味)Acidity
- コーヒーの酸味のこと。「酸っぱい(sour)」とは異なり、爽やかで明るい酸味(bright)はスペシャルティコーヒーでは高く評価される。クロロゲン酸・クエン酸・リンゴ酸等が関与。
- アフターテイストAftertaste / Finish
- 飲み込んだ後に口に残る余韻。長く心地よいアフターテイストは高品質の証。フローラル・チョコレート・フルーティなど、飲んでいる時とは異なる風味が現れることも。
- クリーンカップClean Cup
- 透明感のあるクリアな風味のこと。欠点豆や過発酵による異臭・雑味がなく、フレーバーがはっきり感じられる状態。ウォッシュドプロセスのコーヒーに多い。
関連:フレーバーノート
文化
- サードウェーブ(第三波)Third Wave Coffee
- 2000年代から始まったコーヒームーブメント。産地・農家・品種・精製方法を重視し、コーヒーをワインのようにトレースして楽しむ文化。ブルーボトルコーヒーが象徴的な存在。
その他
- カフェインCaffeine
- コーヒーに含まれる覚醒・集中効果を持つアルカロイド。アラビカは乾燥重量の約1.2%、ロブスタは約2.7%を含む。飲用後30分程度で血中濃度がピークに達し、半減期は約5〜6時間。
- デカフェDecaf / Decaffeinate
- カフェインを97%以上除去したコーヒー。水・有機溶媒・超臨界CO2などの方法で除去する。妊娠中・夜間飲用・カフェイン過敏な方向け。風味は通常のコーヒーと若干異なる。
- グリーンビーン保存Green Bean Storage
- 生豆は焙煎前の保存状態が品質を大きく左右する。温度 15〜20°C、湿度 50〜60% の暗所が理想。1 年程度で「ニュークロップ」→「カレントクロップ」→「パーストクロップ」と呼ばれ風味が変化する。
関連:カフェイン
関連:グリーンビーンズ
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